当院について



漢方について


■ 漢方の役割、種類、服用法、
   注意点について

■ 漢方の効く病気、
   漢方が応用される病気







漢方の役割


ご存知のように、漢方では一人一人の患者さんの体質や自覚症状を重視したきめ細かな処方(随証治療)を行うのが特徴です。
カゼだから葛根湯、慢性肝炎だから小柴胡湯、というような一律の処方はいたしません。
そのため、初診時には、詳しい問診(問診表を用いております)と診察が必要です。
漢方治療の第一の役割は、気力や体力を補って全身の体調を良くし、自覚症状の改善を通してQOL(生活の質)を向上することです。
さらに、慢性病の場合は、必要に応じて現代医学と連携、協力しつつ、その病気をできるだけ悪化させないようにコントロールし、病気の進行や合併症を予防したり、長期予後を良くすることにあります。


漢方薬の種類、服用法、注意点について


@伝統的な煎じ薬 
  生薬(刻み)を数種類から10種類以上 ブレンドしたオーダーメイドの処方です。
  医師(漢方専門医)が刻みの種類、分量を具体的に院外処方せんに記載します。

A医療用漢方製剤(漢方エキス剤)
  煎じ薬を濃縮して粉末状にして、1回分毎に真空パックされたもの。

の2種類が主に用いられます。

1)漢方エキス剤について
大多数例にたいしては、エキス剤による漢方治療をおこなっております。
健康保険では、約150種類のエキス剤が処方可能です。 わが国の漢方メーカーの健康保険適用のエキス剤の品質は、国際的にもきわめて高く評価されており、常温にて長期保存(製造から3〜5年間)が可能です。旅行時にも持ち運びが容易なのでとても便利です。

服用時間としては、教科書的には食前や、食間空腹時がすすめられておりますが、
私の長年の経験では、食後に服用しても効果に有意差がないように考えております。服薬しやすさ(コンプライアンス)からいえば、食後がベターですので、私は食後服用を指示する場合が多いのです。
また、胃の弱い人、食後に胃がもたれるような場合は食後にしてみましょう。
一般に常温の水か、ぬるま湯でそのまま服用してかまいませんが、時間的余裕があれば、お湯(熱湯)によく溶かして、お茶のようにして味わいながら飲むのがよろしいでしょう。漢方薬の香りや味も薬効のひとつとされております。
カゼに用いられる葛根湯、桂枝湯などには重要成分として生姜(ショウキョウ、しょうが)が含まれています。生姜はからだをあたため、発汗をうながし、はきけを止め、健胃作用もあります。
葛根湯などの服用時にはエキスを熱湯に溶かして(もともとの煎じ薬にもどして)、さらに料理に用いるヒネショウガのおろし汁を適量加えて飲んでいただくと味もよく、効果が増します。

服用回数としては、通常、1日2〜3回としております。数種類のエキス剤を併用する場合もすくなくありません。その場合は、1日2回、朝、夕食後、とする場合が大多数です。1日1回の処方を組み合わせる場合もございます。1日のトータルの服薬量が多くならないように処方を工夫しております。
万一、服用後にはきけ、嘔吐、下痢、湿疹など、不快な症状があらわれたら、ただちに服用中止として、医師に相談してください。
漢方薬にもまれですが、天然薬物としてアレルギー反応や予期し得ない副作用をおこすことがあります。

2)煎じ薬について
病状により本格的に治療する時には、漢方の煎じ薬がすすめられます。
処方頻度からいえば、エキス剤が8〜9割、煎じ薬が1〜2割程度となっております(私の場合)。
病気の種類によっては(アトピーなど)、煎じ薬の比率がすこし多いようです。
煎じ薬は健康保険の範囲で、かなりオーダーメイドの処方ができます。
当院ではいくつかの調剤薬局のご協力により、健康保険がきく煎じ薬の院外処方を行っております。
健康保険ですから、薬価としてはエキス剤にくらべて、とくべつに高価ではありません。

患者さんは自宅で1日1回、1日分を自分で煎じて、朝、夕の2回に分けて服用していただきます。
ただし、煎じ薬でなければ効き目がない、ということではございません。
煎じ薬は自分自身の強い意志によって毎日続けなければなりません。それなりの手間ひまがかかりますので、それがかえって患者さんのストレスになっている場合もございます。エキス剤でも十分有効ですので、いつでもご相談いただければと思います。