『はあと』 vol.8 冬の風邪の特徴と漢方治療冬のかぜに役立つ漢方をご紹介しましょう。漢方的にはかぜは、ぞくぞく悪寒があって発熱する「寒証型」と、発熱はあるが悪寒はほとんどなく、口が渇き 、のどの痛みなどを特徴とする「熱証型」に大別して治療します 。冬のかぜの特徴である「寒証型」は、寒邪に犯され発病した状態ですから、からだを暖め、発汗を促すような薬を用います 。代表的な処方をあげてみますと──。
「葛根湯」(かっこんとう)は体力が中等度以上あって、悪寒 、発熱 、頭痛などがあり 、首の後ろや肩がこり 、汗がほとんど出ないような場合に効き目があります 。胃が弱い人では、成分中の麻黄が胃にさわることがあります。これに対して筆者が好んで処方するかぜ薬に、「参蘇飲」(じんそいん)があります。これは軽度の消炎解熱薬、鎮咳去痰薬(ちんがいきょたんやく)に胃腸薬が十分含まれ 、胃腸虚弱な人、高齢者でも安心して使えます 。 「桂枝湯」(けいしとう)は 、かるい寒気があり、汗がじわじわでやすいような軽症のかぜに用います 。 いずれもエキス剤の場合、熱い湯に溶かして飲むのがコツです 。さらにショウガのおろし汁を適量加えると飲みやすくなり 、効果が増します 。 「麻黄湯」(まおうとう)は、葛根湯よりも強力な発汗解表薬で、体力もあり 、38.5度以上の高熱、強い筋肉痛や悪寒など 、重いかぜに用いられ、小児や若い人のインフルエンザなどに適応します。インフルエンザ(A型、B型)も例年流行しておりますが、両型に効く西洋薬のタミフルと症状、体質に合った漢方薬との併用も相乗効果があります。 又、体力が中等度以下の人や中高年者で、寒気が強く 、顔色も青白く 、咳、鼻水、のどのチクチクする痛みがあるようなかぜには、「麻黄附子細辛湯」(まおうぶしさいしんとう)が用いられます 。 次に 、「熱証型」のかぜですが 、扁桃炎などが典型的です 。悪寒が少なく 、熱が重い状態で、「銀翹散」(ぎんぎょうさん)、「葛根湯加桔梗石膏」(かっこんとうかききょうせっこう)、「麻杏甘石湯」(まきょうかんせきとう)などが有名です。ただし 、症状が重い場合は細菌感染などが考えられますので、抗生物質の適応もあり、医師への受診をおすすめします。気管支炎や肺炎では、西洋薬と漢方薬を上手に併用するとつらい症状の早期改善と治癒促進にたいへん役立ちます 。 |
|